Y-1 室 ジョゼフ・コーネル/瀧口修造

Y-1 室

Joseph Cornell
Shuzo Takiguchi

一九七八年、ジョゼフ・コーネルの日本で初めての展覧会が日本橋の雅陶堂ギャラリーで開催されました。このときの企画には瀧口修造が深く関わっています。 同じ年の同じ月に生れた美術家と詩人は、ニューヨークと東京に離れていなが ら、ともに親密ではかないものの永遠性を追求しました。

ジョゼフ・コーネル
Joseph Cornell

1903年、ニューヨーク州ナイアックに生れる。正規の美術教育を受けることなく、コラージュやアッサンブラージュを制作。よく知られる箱の作品などで非常に高い評価を受けながらも、美術シーンの表舞台への積極的なコミットを避け、ニューヨーク市ユートピア・パークウェイの家で母と弟とのつつましい暮らしを続けた。

正規の美術教育を受けなかったコーネルが美術館やギャラリー、図書館や古書店、劇場や中古レコード屋などで得た厖大な知識やコレクションの集積は、シュルレアリスムからの影響を受けたことでコラージュやアッサンブラージュ作品へと変貌していくが、自身をシュルレアリストと見做すことはなかった。

清澄なイノセンスとノスタルジアを湛えたその作品は、大々的に展示される美術作品というよりも、極めて親密な贈り物といった風情である。実際に、コーネルはしばしば自分でデザインしたカードや手紙、ときには立体作品をも、親しい友人や知人、さらにはその子供たちにプレゼントしていた。