Y-2 室 加納光於/中西夏之

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平出隆詩集『詩集 雷滴』
写真上部は『雷滴』を収める青木淳設計の透明梁。「雷滴」とは平出の造語で、夜来の雷雨が過ぎた翌朝、植物の表面についている無数のしずく。陽光に輝く一滴ごとに、昨夜の稲妻が閉じ込められている、というイメージ。光と水のエレメントに想像力の運動を加えて、それをさらに壊れものさながらに造本した。

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平出隆『家の緑閃光』草稿
1987年刊行の詩集『家の緑閃光』において平出隆は、素描と小説と歌、あるいは散文詩と散文と詩という3種の言語形式を交錯させる書法を採った。透明梁のケース内の一連の草稿では、物について書かれた「素描/散文詩」の既発表記事を複写し、そこに直接、その物自体の声による「歌/詩」が書かれていくという特殊な執筆プロセスを見て取ることができる。